ふと愛犬を見ると、白い粉のような物が毛に纏わりついていたなんて事があったら、それはおそらくフケでしょう。フケはターンオーバーによって剥がれた古い角質なため、少量であれば問題ありません。しかし、フケが過剰に出てくる場合は、何らかの肌トラブルを抱えている可能性があります。
今回は犬のフケが出てくる原因や対策、考えられる病気について解説します、
目次
犬のフケが出てくる原因
犬のフケは病気だけではなく、ストレスや間違ったスキンケアが原因でも過剰に出てきます。まずは愛犬がどういった理由でフケを出しているのかを探っていきましょう。
ストレス
犬も人間と同じで普段の生活でストレスを抱えてしまうと、新陳代謝が乱れてしまってフケが増えます。また、ストレスは身体の免疫力が低下を招き、様々な病気にかかるリスクが高まります。その結果、脂漏症やアレルギー性皮膚炎などの皮膚関係の病気にかかってしまってフケが出てきたという事も考えられます。
犬があくびを繰り返したり、身体をブルブルさせている時はストレスサインかもしれません。あまりにストレスを抱え込みすぎると、噛みつくなどの問題行動や体調不良を招きます。普段から愛犬がストレスを抱えていないか、チェックしてみましょう。
皮膚の乾燥
冒頭でもちらっとお話したように、フケというのは皮膚の角質が剥がれ落ちたものです。皮膚が乾燥していると、皮膚を保湿している油分が足りなくなったり、ターンオーバーのサイクルが乱れてしまうなどの理由から過度にフケが出てきてしまいます。
もともと犬の皮膚は人間の赤ちゃんよりも薄く、乾燥肌になりやすいです。そのため、季節の変わり目や冬場の暖房器具などであっという間に水分が蒸発されてしまい、フケが増えてしまいやすいとされています。
また、皮膚の乾燥はフケ以外でも『出血しやすい』『肌のハリが無くなる』『刺激に対して敏感になる』など、身体に良くない状態を招きます。乾燥がお肌の天敵なのは、人間だけではなく犬にも同じことが言えるのです。
間違ったシャンプーの方法
適度に身体を綺麗にする事は大切なのですが、間違ったシャンプーやスキンケアはかえって皮膚にとって良くありません。特に、過度なシャンプーは犬にとって最悪と言っていいほど危険です。
毎日お外を散歩する犬の身体は確かに汚れがついていますが、その度にシャンプーなどで汚れを洗おうとすると、皮膚に必要な『皮脂』までもが洗い流されてしまいます。皮脂は皮膚の乾燥を防ぐ役割を持っているため、これを落としすぎると前項で解説した『皮膚の乾燥』と同じ問題へと繋がっていきます。
また、犬は自分のニオイが身体についていないとストレスを抱えてしまう動物なので、そういった意味でもシャンプーの回数には気を付けたいですね。
犬のフケを改善するには
フケが出てくる原因について分かったところで、次は原因別に改善方法について見ていきましょう。
ブラッシングは丁寧に
犬のブラッシングはただ毛並みを綺麗に整えるだけではなく、皮膚をマッサージする事で結構を良くして、皮膚を健康にしてくれる効果もあります。また、ブラッシングに慣れた犬であればスキンシップの一環にもなるため、ストレス解消にもなりますよ。
ブラシには色々なタイプがありますが、普段使いという意味では『短毛種ならスリッカーブ』『長毛種ならコームブラシ』があれば問題ありません。
ブラッシングする際は短毛種と長毛種で方法が異なり、短毛種は毛並みに逆らってブラッシング、長毛種は毛並みに沿ってブラッシングするのが基本です。ただし、犬によってはブラッシングに不快感を覚える子もいますので、無理をさせないようにするのが鉄則。不安なら、トリミングサロンでブラッシングしてもらいながらコツを聞いてみるのも手です。
室内環境を整える
皮膚の乾燥を防ぐためには、室内の湿度を維持する事が大切です。室温は20度程度、湿度は40~60%を基準にして、犬の様子を見て適宜微調整してください。また、散歩をした後やシャンプーの後は皮膚が乾燥している状態なので、状況に合わせて保湿剤やジェルの使用も検討しましょう。
また、犬は人間よりも床との距離が近いため、保温性の高い絨毯や床暖房など、床自体が冷たくならないような対策もあった方が安心です。
正しいシャンプーの方法
間違ったスキンケアは皮膚トラブルの原因になりますが、正しいスキンケアは皮膚の健康を保つために必要です。ここで言う正しいスキンケアとは『回数』『シャンプー剤』の事を指します。
まず、シャンプーの回数は獣医師などの指示がない限りは基本的に月に1〜2回ほどが適切です。それ以上は皮膚に良くありませんし、ニオイが消えて犬が不安がります。また、シニア犬は2か月に1回又は調子の良い日にシャンプーしてあげましょう。
シャンプー剤は『無香料』『低刺激』『アレルギーなし』を基準に、皮膚の状態に合わせた物を選ぶのが大切です。特にアレルギーに関しては、犬によって有無や反応の強さが異なってきますので、必ず確認してください。
犬のフケが関係してくる病気
犬の皮膚に関する病気には、フケが増える事が症状として見られるものもあります。ここでは、そんな犬の病気について解説していきます。
脂漏症
脂漏症(しろうしょう)は、皮膚のバリア機能が低下した事でターンオーバーが乱れ、皮膚が乾燥したり脂っぽくなってしまう状態の事です。主な症状として、フケやかさぶたが過剰に出てくる、ニオイが強くなる、皮膚の赤み、痒みなどが挙げられます。
脂漏症は遺伝や体質、細菌感染など様々な要因によって引き起こされるため、明確な予防法というものがなく、また治療も難しいとされています。そのため、バランスが取れた食事や睡眠などの飼育方法を見直したり、何か異常があればすぐに動物病院で診察してもらうなどの基本的な事こそが大切になってきます。
疥癬
疥癬(かいせん)は、ヒゼンダニというダニの仲間が犬に寄生することで発症する皮膚の病気の事です。
ヒゼンダニは一度犬に寄生すると、皮膚にトンネルを作って暮らします。疥癬は、このトンネル中でヒゼンダニが出した糞や分泌液によって発症し、激しい痒みを引き起こします。また、それに伴って皮膚が赤く腫れたり、フケが大量に出てくるようになります。
アレルギー性のものと同じような症状ですが、相手は生物である『ダニ』であるため、駆除しなければ完治しません。また、ヒゼンダニは犬から犬へと感染するため、放置すれば周りのペットにも被害が及びます。もしペットが痒がっていたり、皮膚が赤みを帯びている場合は、早めに動物病院へいきましょう。
皮膚炎
犬の皮膚はとてもデリケートであり、皮膚炎になる事も多いです。特にアレルギー性皮膚炎は皮膚の免疫機能を落としてしまう他、かゆみやフケも症状として挙げられます。また、アレルギー性皮膚炎の一つである『アトピー性皮膚』も、フケが出やすい傾向にあります。
犬のフケが大量に出るのは皮膚の異常のせいかも……
冒頭でもお話ししましたが、フケが出てくること自体はそれほどおかしな事ではありません。人間の場合は頭部からしかフケは出てきませんが、犬の場合は全身が被毛で覆われている分、全身に白っぽいフケが付着するのは自然なことなのです。
問題なのはフケがある事ではなく、フケが大量に出てくること。ストレスや皮膚の乾燥、病気など様々な事が原因で皮膚がトラブルを起こしているというサインですので、必ず動物病院に連れて行くようにしましょう。また、それだけではなく、普段からしっかりと保湿ケアや室内環境を整えるといった対策も必要です。