猫の肉球が活躍する場面と適切なケア方法について解説

猫のトレードマークといったら、可愛い肉球が思い浮かびますよね。実際、猫のグッズのほとんどに肉球マークが入っているなど、猫=肉球のイメージが定着しています。そんな肉球ですが、猫の生活においてどんな役割を持っているのでしょうか?

今回は猫の肉球の構造や役割、ケア方法についてお話していきます。

目次

猫の肉球の構造について

猫を飼ったことのない人だと、ほとんどの人は前足にある肉球を想像するかと思います。しかし、実は猫は前足と後ろ脚で肉球や足自体の構造が違うという事はご存知でしょうか?まずは肉球の構造について見ていきましょう。

猫の前足は、足の中心に『掌球(しょうきゅう)』、手首と手の中間ほどにある狼爪を含めて5本ある指にそれぞれ『指球(しきゅう)』、手首にある『手根球(しゅこんきゅう)』、これらを足して累計7つの肉球があります。特に狼爪は知らなかったという人は多いでしょうね。

前足に対して後ろ足は、足の中心である掌球と同じ役割を持つ『足底球(そくていきゅう)』、狼爪が無いため4本の指になった『趾球(しきゅう)』の累計5つの肉球があります。つまり、簡単に言えば前足が人間の手、後ろ足が人間の足に該当し、指の本数やそれに伴って肉球の数も異なるというわけです。

肉球は脂肪をたっぷり含んだ弾性線維が網目状に張り巡らされており、その上に分厚い角質が覆われた構造をしています。肉球を触ったときのブニブニとした感触は、こういった構造をしているためです。

猫の肉球の様々な役割

猫の肉球は、私達が思うよりずっと大切な役割を持っています。ここでは猫の肉球がどのように役立っているのかについてお話します。

狩りの際に使う

今でこそ猫は可愛いペットとしてのイメージが強いですが、元々の祖先は狩りをしながら暮らしていました。猫は『食肉目』と呼ばれる分類にあり、これに属する動物は狩りをして獲物の肉を食べるのですが、常に走り回って狩りをするわけではありません。ギリギリまで相手に悟られずに近づき、相手を仕留める必要があるのです。

そこで肉球の出番。弾性繊維を多く含んだ肉球は、クッションの役割を持っており、足音を消しながら移動したり、高い所から飛び降りても衝撃を吸収してくれます。特に猫は爪を収納できるようになっているため、より隠密性に特化した動物です。

センサーの役割

飼い猫は、時折家具や地面にある物を手で突いて何かを確認していますよね?実は、あの行動は肉球を用いて対象の危険度を探っているのです。

肉球は手足の中でも唯一体毛が生えておらず、敏感に反応する場所です。その敏感性がセンサーのような役割を持ち、対象の熱さや冷たさ、怪我しそうなくらい危険かどうかなどを確かめます。

ただ、一方で痒みや痛みといったものまで敏感に反応してしまうため、肉球が傷ついてしまうと違和感を感じやすくなってしまいます。

体温調節のため

体温調節は基本的に汗を出す事で行っています。より具体的には、汗を出す2つの器官の1つである『エクリン腺』という器官から出すサラサラとした汗が体温調節の役割を担っています。因みに、もう1つは脂っぽい汗を出す『アポクリン腺』です。

実はこのエクリン腺、猫は極一部の場所にしか存在しません。そう、その極一部の場所こそが肉球です。猫はこの肉球から出る汗や、身体を舐める事で体温調節を行っているのです。

しかし、それは体温調節がそれでしか行えないという事でもあり、猫は寒さに強くても暑さには弱いというのはこういった理由から来ています。その代わり、アポクリン腺は全身に存在し、フェロモンの役割を果たせるようになっています。

猫の肉球の適切なケア方法

猫の肉球は便利な反面、とてもデリケートです。可愛い肉球を守るためにも、しっかりとしたケア方法を実践していきましょう。

部屋の室温・湿度管理

肉球は乾燥にとても弱く、湿度が低いとカサカサになってひび割れを起こしやすくなります。猫は完全室内飼いが基本ですので、外の環境に左右される事は少ないかと思いますが、その分室内の環境に気をつける必要があります。

猫が快適に過ごせる湿度は40〜60%、肉球を守るためにもこの湿度を維持しなければいけません。特に冬はストーブやエアコンを点けていると湿度が低くなりやすいため、同時に加湿器などの器具を使用した方が良いでしょう。

保湿ケアの方法

室内の湿度管理はもちろん重要ですが、万全を期すためにも保湿クリームで肉球をケアしましょう。

使用する保湿クリームは、無香料で猫用のクリームを選びます。人間用のクリームは、人間には有効な成分や好きな匂いが含まれていますが、それらは猫にとって有害になる可能性があります。猫用のクリームはココナッツオイルやオリーブオイルといった自然由来のオイルを基本としているため、安心して使用できます。

クリームを肉球に塗る際は量にも注意してください。あまりに多い量を塗ると油分で滑ってしまい、猫が転ぶ事があります。

怪我をしたときの対応

室内飼いの猫はあまり怪我をする事はありませんが、それでもガラスの破片や植物で傷ついてしまう事があります。この時、傷の深さによって適切な処置が異なります。

傷口が浅い場合は、傷口を洗って清潔に保ちつつワセリンや保湿クリームで保護してください。もし傷口が深い場合は、治りにくいため動物病院でしっかり診てもらいましょう。

また、やけどの場合も患部を冷やしながら動物病院で診てもらう必要があります。この際、水ぶくれがあったとしても決して潰さないでください。特に冬はストーブやこたつなどのやけどしてしまう要因が多々あるため、気をつけましょう。

完全室内飼いがおすすめ

これまでから分かるように、猫は完全室内飼いがおすすめです。たまに猫を放し飼いにしている飼い主もいますが、子猫の時から放し飼いにしているのならともかく、成猫になるまで外に出した事がないなら危険です。

外の地面は季節によって熱くなったり冷たくなったりしますし、道端には鋭い小石もあります。また、不慮の交通事故や野生の動物と遭遇する可能性もあるでしょう。

室内はそういった危険がありませんし、室内環境さえ整っていれば基本的に安全です。もし、それでも放し飼いを希望する場合は子猫の時から少しずつ訓練するようにしておきましょう。

猫の肉球は凄いところがたくさん!

猫の肉球は、狩りや身の危険を察知する時など様々な状況下で活躍する優秀な部分です。一方で、とても繊細な部分でもあり、飼い主がしっかり見ていないと、思いがけない所で怪我をしてしまう事もあるでしょう。

また、湿度管理や怪我しそうな要因の排除など周囲の環境も大切です。特に猫は気まぐれな性格もあってか、飼い主が想像しない行動をしがち。万が一の事も考慮して、安心安全な猫ライフを過ごしてもらいましょう!

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