猫の顎ニキビはどんな症状が出るの?原因やケア方法について

知らぬ間に猫の顎下に黒いぶつぶつが出来ていたら、それは『顎ニキビ』かもしれません。顎ニキビは最初こそ危険性の少ないものですが、放置してしまうと危険です。

今回は猫の顎ニキビの正体や出来る原因、効果的なケア方法について解説していきます。

目次

猫の顎ニキビとは

そもそも顎ニキビはどういったものなのでしょうか?実は顎ニキビは皮膚疾患の一つであり、無視していいものではありません。まずは顎ニキビの基礎知識について見ていきましょう。

猫の顎ニキビってどんなニキビ?

猫の顎ニキビは正式名称を『尋常性ざ瘡』と呼び、常在菌であるアクネ菌によって引き起こされる皮膚疾患の一つとして知られています。

通常、アクネ菌は悪さができるほどの数はいません。しかし、ターンオーバーの乱れなどの理由で古い角質などで皮膚の毛穴が詰まると、毛穴に皮脂が溜まっていき、それを餌にしてアクネ菌が増殖して炎症を起こします。これがニキビのメカニズムです。

特に猫の場合、顎下は舌や足が届きにくい事からニキビができやすく、普段からのケアが大切になってきます。また、猫のニキビは口角や唇の周囲に出来る事もあるため、合わせて注意しましょう。

猫の顎ニキビの初期症状

猫の顎ニキビは、出来始めた段階では見た目以上の変化はありません。黒いぶつぶつは傍目から見ても不快ではありますが、猫も自覚症状が見られず日常生活にも支障が起きる事はほとんどないです。

また、ニキビ自体も皮脂が詰まっているだけなので、飼い主様が適切なケアをする事で、自然に完治したり、ニキビそのものが綺麗に取れてしまう事もあります。ただし、逆に言えば飼い主様がケアをしないと自然に完治するのは難しく、症状もどんどん悪化していきます。黒いぶつぶつを発見したら、ちゃんとケアしてあげましょう。

猫の顎ニキビが酷くなると……

猫に顎ニキビが出来た後も放置していると、次第に患部周辺の毛が抜け落ちたり、赤い斑点が見られるようになっていきます。また、見た目以外にも痛みや痒みといった症状が現れ始め、患部をしきりに舐めたり引っ掻いたりするといった行動を起こすようになります。我慢できなくなると、家具の角などに強く擦りつけるといった危険な行動に出る事も……。

症状自体も危険ですが、何よりも猫がそれを気にしてしまうのが問題です。患部を傷つけすぎて出血して、そこから細菌が侵入して感染症になる事もあるためです。また、この段階になると自宅でのケアもほぼ効果が期待できないため、動物病院で治療する必要があります。

猫に顎ニキビが出来る原因

顎ニキビは衛生状態が悪かったり、ストレスが原因で発生します。ここでは、具体的にどんな理由で顎ニキビが出来てしまうのかについて見ていきましょう。

食器に細菌が残っている

キャットフードやお水を入れる容器には、猫のよだれや食べ残しが付着します。特にプラスチック製の容器は細かい傷が付きやすく、丁寧に洗っているつもりでも細菌が傷に残ってしまう事が多いです。そうして落とせなかった細菌が、猫が口を付けた時に顎の皮膚に侵入してニキビとなってしまうのです。

対策としては、まずプラスチック製ではなく、頑丈かつ傷が付きにくいガラス製の食器に変えるか、食器を定期的に買い換えるようにしましょう。また、水を入れる食器も1日に1回は洗っておいた方が安心です。

顎の下が汚れている

前項でも触れたとおり、猫の顎の下はもともと汚れやすい場所です。理由は単純で、食器に口を付ける時に自然に顎も付いてしまう上に、グルーミングしようとしても舌も足も届かないため。顎の下は猫に任せるよりも、飼い主様がケアしてあげた方が衛生状態を維持しやすくなります。

ご飯や水飲みの後は、ガーゼなどで顎の下を軽く拭いてあげましょう。

ホルモンバランスが乱れている

ホルモンバランスが乱れると、皮脂が大量に分泌して詰まりやすくなったり、免疫力が低下する事によって顎ニキビができやすい環境になってしまいます。ホルモンバランスは偏食や病気、運動不足などで乱れるため、健康的な生活をさせてあげましょう。

また、避妊手術後しばらくはホルモンバランスが乱れやすくなっています。術後は獣医師と相談しながら、うまく猫をサポートしてあげてくださいね。

ストレスを抱えている

猫が精神的なストレスを感じると、ホルモンバランスが乱れて、前項の通り顎ニキビが出来やすくなります。猫は繊細な動物ですので、飼い主様がうまくストレスコントロールをしてあげましょう。特に『引っ越し』などの環境の変化には物凄く敏感なため、引っ越しした直後の猫の様子には気を配った方が良いでしょう。

その他にも、強い言葉で叱ったり、爪研ぎが出来ないなどの理由でもストレスを感じてしまいます。何が猫にとってストレスなのか覚えておく事もおすすめします。

フードが合わない

キャットフードはライフステージやサイズ別に最適な栄養価で作られています。そのため、今の猫と合わないキャットフードを選んでしまうと、身体に不調をきたす事があります。特に顕著なのが、太り気味の子に脂肪分の多いフードを与えたり、反対に痩せ気味の子に脂肪分の少ないフードを与えたりしてしまうなどですね。

衛生状態や健康状態に配慮しているにも関わらず顎ニキビが出来てしまうなら、キャットフードを変えてみるのも手でしょう。ただし、いきなり全部を新しいキャットフードに変えるとかえって体調を崩してしまう事もあるため、元々のフードに混ぜながら変えていく方が安心です。また、アレルギー持ちの子は獣医師と相談しながらフードを選んであげましょう。

猫の顎ニキビにやってはいけないこと

猫の顎ニキビは適切にケア出来ていればそこまで脅威ではありませんが、一方で絶対にやってはいけないこともいくつかあります。ここでは特に、ついついやってしまいがちなNG行動について見ていきましょう。

硬い物で擦らない

顎ニキビは見た目的には黒いぶつぶつなため、思わず硬いブラシでこそぎ落としたくなってしまいますが、これは厳禁。猫の繊細な皮膚に傷が付いてしまう恐れがあります。また、万が一ニキビがつぶれてしまうと、そこから更に炎症が広がってしまいます。

動物病院ではニキビを絞りだす方法で治療する事もありますが、ご自宅では清潔にする程度にとどめておきましょう。

アルコール消毒液を使わない

皮膚を清潔するといったらアルコール消毒液をイメージする人も多いですが、猫にとってアルコールは猛毒になるため絶対に使用してはいけません。猫は人間のようにアルコールを分解する酵素を持ち合わせていないため、たとえ少量であっても泥酔してしまう可能性があります。

顎ニキビを拭くときは、必ずぬるま湯又はノンアルコールの布を使用してください。

猫の顎ニキビのケア方法

猫の顎ニキビは、初期段階だと自宅でも十分にケアして治す事が可能です。

ケアのやり方は、清潔なガーゼや布をぬるま湯で軽く濡らして、患部を優しく拭いてあげるだけ。この時、黒いぶつぶつを落とそうとして力を入れすぎないように注意してください。また、シャワーなどで顎を綺麗にするのも効果的です。

ただし、どの方法もあくまで初期段階でのケア方法です。猫が痛がるような状態なら、動物病院で診察してもらうようにしましょう。

猫の顎ニキビは放置すると危険!

猫の顎ニキビは、顎下の汚れやホルモンバランスの乱れが原因で発生します。普段から顎下を綺麗にしてあげたり、ストレスを抱えすぎないように配慮してあげるなどして、顎ニキビが出来辛い状態を維持させましょう。

顎ニキビが発生したら、そのまま放置してしまうと細菌感染などのリスクが高まり危険です。自宅でのケアが難しい場合は、動物病院に相談する事も検討しましょう。

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