日本において人間の保険は、生活保護受給者を除き社会保険や国民健康保険のどちらかに必ず加入する事になっています。しかし、ペット保険は基本的に任意であり、飼い主の判断によって加入します。
今回はそんなペット保険のメリットや注意点などを解説していきます。
目次
ペット保険が今後必要になる?
保険は万が一の時を考えて必要になる、理屈では分かっていても、いまいちピンと来ていない人も多いでしょう。ペット保険が日本に来たのは1995年、まだまだ日が浅いです。一昔前まで、飼い主はペット保険に加入するというよりも、貯金して万が一に備えるというのが基本でした。しかし、現在のペット事情を考えると、未来のためにペット保険に加入する重要性はかなり高いと言えます。
その最たる理由が、ペットの平均寿命が年々延びているということ。例えば、今の犬や猫は10年以上生きる事も珍しくありませんが、30年ぐらい前までは7歳前後まで生きられたら上々でした。それが、飼い主の意識の変化や食事の質の向上、医療技術の発展により飛躍的に長生きできるようになったのです。
これだけ聞くと喜ばしい事ですが、一方で『高齢特有の病気や怪我』に対して高い医療費を支払う必要が出てきました。例えば、ペットの1ヶ月の医療費が8,000円だと仮定しましょう。そうすると、年間で96,000円かかります。更に、ペットが15年程度生きられたら、1,440,000円が医療費として使われます。
唐突な事故や病気の事を考えると、これより高くなる可能性だってあります。ペット保険の需要が高まっているのには、こうした理由も大きいのです。
ペット保険に加入するメリット
ペット保険はいざという時の安全のために加入するものですが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
突然の病気やケガに対応できる
ペット保険に加入する最大の目的は、やはり急な医療費への対応でしょう。ペット保険の場合、大体全額の70%〜50%を補償してくれる割合プラン、もしくは通院1日ごとに一定の金額を補償してくれる定額プランの2種類があります。
例として、犬に多い白内障の治療費はおよそ30万ほど。70%の割合プランに加入している場合、全体の7割である21万円が補償されますので、飼い主は残りの9万円だけ支払う事になります。
定額プランの場合は、軽い怪我や病気だと100%補償してくれるプランも多いため、普段の健康をサポートしてくれる側面が強いです。
特約やサービスがある
特約とは、簡単に言えばオプションのようなものです。基本的には損害賠償に関する特約が多いですね。例えば、自分の飼ってるペットが人の物を壊したり、怪我をさせてしまった時などに限度額以内で保険金が降ります。
ただし、こういった損害賠償に関する保険は、火災保険や自動車保険の内容と重複するものが多いです。その場合、対応範囲や限度額などの要素からこちらの方が優秀であるため、既に各種保険に加入している人がわざわざ特約を付けるメリットは薄いです。
特約以外にも、最近は電話相談などのサービスが付いてくる事もあります。初めてペットを飼う方は、こういったサービス面も考慮して保険を選ぶのもおすすめです。
飼い主が安心してペットを飼える
これはペット保険そのもののメリットではありませんが、やはりいざという時に保険があるという安心感は大切です。先述したように、ペットにかかる医療費は決して安くありません。何かあったときの事を考えて、「ペットは飼いたいけど、急な治療費とか不安……」という人も少なくないでしょう。
ペット保険はそんな人の安心材料としての価値も高いです。転ばぬ先の杖とも言いますし、ペットを飼うなら保険の加入をぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
ペット保険の注意点
ペット保険に加入するなら、メリットだけでなく注意点も知っておいた方が良いでしょう。
かけたお金は戻ってこない事が多い
よく、「ペット保険は無駄になる」と言われる事があります。実際、ペットが寿命を迎えるまで健康でいられるなら、保険にかけたお金は無駄になります。なぜかと言うと、ペット保険の場合は【掛け捨てタイプ】が多いからです。
保険には、かけたお金が戻ってこない【掛け捨てタイプ】と、かけたお金が一部戻ってくる【貯蓄タイプ】があります。例えば、人間の死亡保険や介護保険などは貯蓄タイプが多いですね。
「じゃあ掛け捨てタイプは損なの?」と言われると、必ずしも損ではありません。掛け捨てタイプは毎月の保険料が安く設定されているため、若い世代や定年退職後の年配に需要が高いとされています。
確かにペットにはいつも健康であって欲しいものですが、それでも数年以上生きた中で健康状態を維持できるなんてことは現実的ではないでしょう。掛け捨てタイプは、いわば安全を買っているのです。
プラン内容によって補償されるものが変わる
保険金トラブルで多いのが、補償されていない病気だったために保険金が降りないというもの。実は、プラン内容によっては補償されるものが変わってきます。特に狂犬病やパラインフルエンザ、新型コロナウイルスなどのワクチン接種によって防げる病気や、去勢・妊娠手術などは対象外になる事が多いです。
これら以外にも対象外になる病気もあるため、加入する際は必ずホームページや契約書の内容に目を通しておきましょう。
ペット保険は無駄なのか?
そもそも保険というものは、いざという時に対策できるというもので、逆に常時恩恵を受けられるようなものではありません。ましてペットの大半は、人間のように80年や100年もの間生きられるわけではないため、人によっては「本当にペット保険は必要なの?」と疑問に思うでしょう、
しかし、ペットにだって『老い』というものはあります。人よりも寿命が短いからといっても、『生まれて老いて死ぬ』という過程に違いはありません。そして、老いれば病気や怪我のリスクが高まるという点は一緒です。
ペット保険は安全を買うものであり、その安全に価値を見いだせるかどうかがそのままペット保険の必要性になってきます。「ペットのためにいざという時に備えたい」と思うなら、保険に加入することをおすすめします。