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大切にしていたペットを失うこと、それは飼い主ならばいつかは訪れる事であり最も苦しい瞬間でもあります。近年はペットをもう一つの家族として受け入れる優しい飼い主が増えた一方、愛情の深さからペットロスに悩んでいる人も増えています。
今回はペットロス症候群とはどういった病なのか、カウンセラーに必要性などについてお話していきます。
目次
ペットロス症候群とは
日本でも徐々に知名度を増してきた『ペットロス症候群』ですが、まだまだ詳しくは知らないという人も多いです。まずはペットロスとはどういうものなのか、症状や重症化しやすい理由について見ていきましょう。
ペットを失った人だけが分かる心の病
ペットロス症候群、通称ペットロスはその名の通りペットを死別や行方不明などの理由で失う（ロス）事で心身に不調をきたす疾患です。
飼い主にならないとペットロスにならない、そもそも心の病に関する理解度があまり高くない事から日本での知名度は低いですが、海外だとメジャーか疾患の一つです。また、その日本でもペットを家族として迎える家庭が増えた事から徐々にペットロスへの認識が広まってきています。
ただ、それでも『ペットロスになった自分』と『まわりのペットロスへの認識』の間に壁があるのは間違いなく、かつてのうつ病のように「それくらいで……」と思われてしまう事もあります。ペットロスは自分だけでなく、周りの理解も必要な病気なのです。
ペットロスの症状
ペットロス症候群は心の病のため、不眠や無気力、過食症又は拒食症などうつ病に近い症状が見られます。また、本当にそのままうつ病を併発してしまうケースもあるようです。
ただしこれらの症状が短期間で終わるようであれば『一時的な精神の防衛反応』として扱われ、ペットロス症候群とは言えません。基準は診てくれる医者によって変わりますが、大体『半年以上も症状が強く出ている』『日常生活に著しく支障が出ている』などが目安となっている事が多いです。
ペットロスが重症化しやすい理由
ペットロス症候群はいわば大切なペットを失ったダメージのようなものであり、ペットを深く愛している人ほど発症しやすいとされています。そして、そういった人たちは総じて優しく繊細である場合が多く、一度発症してしまうと重症化しやすい傾向にあります。
たとえば、これはうつ病でも同じような事が言えるのですが、責任感のある人では「こんなことで休んでいいのだろうか？」と思い悩んだり、後悔しやすい人は「もっとペットを幸せに出来たのでは？」といった思考に陥ったりですね。こういった重圧や迷いが余計に自身を追い詰める結果になってしまいます。
ペットロス専門のカウンセリング
重度のペットロスは自分だけでは治せません。友人や家族の助力はもちろん、ペットロス専門のカウンセラーが必要になってくる事もあるでしょう。ここではカウンセラーの必要性や、カウンセリングの内容について見ていきます。
カウンセラーは必要なのか？
心の病というのは、しばしばカウンセラーに会わないと治せないのか、友人に相談するだけでいいのではないかなどと言われることがあります。流石に現代ではそこまで否定される事はないものの、社会人の中にはお休みを取ってまでカウンセラーに会う事を躊躇う人もいるのではないでしょうか。
カウンセラーにお願いする理由、それは意識の差に他なりません。ペットロス症候群を始め、心の病というのはなってみないとその辛さが分からない病気です。仲の良い友人ですら、カウンセラーのような『相手の気持ちを理解し、共に悩み、心の闇を照らして解決する』というプロセスを成し遂げる事は難しいでしょう。
カウンセリングはただお話を聞くだけの仕事ではありません。怪我を治す医者がいるように、心を治すカウンセラーが必要なのです。
カウンセリングの内容
そもそもカウンセリングとはどういった事をするのか、あまりイメージが沸かないという人もいます。それこそ、「行きたいけどうまく話せるか不安……」という人もいるでしょう。結論から先にいうと、相談者は『悩みを話したり質問に答えるだけ』だけで大丈夫。
カウンセラーは基本的に相談者の悩みを聞き、心の傷を治すために話し合ったり、場合によってお薬を処方するのが仕事です。もちろん最初は緊張するかと思いますが、そういった緊張や不安を解消するのもカウンセラーの役目。ひとまず会いに行く、お話をしに行くくらいの感覚で相談してみましょう。
治療は長期間ゆっくりと
カウンセラーに相談する上で一番注意しなければならないこと、それは長期間に渡ってゆっくりと治療する点です。カウンセリングはただ優しく相手を慰めるようなものではなく、あくまで相談者が自分で自分なりの答えを見つける手助けをしていくのが役割であり、その過程で自分で認めたくない弱い部分と対峙していく必要があります。
そのため相談者との信頼関係の構築が重要なファクターとなり、そこに時間をかける事になります。中にはそれが苦痛となってカウンセリングを投げ出してしまったり、新しいカウンセラーに替えてしまう人もいるほどです。
もちろん、そうなってしまうとすべてがやり直しとなってしまうためあまりおすすめできる方法ではありません。もしどうしても今の人を替えたい場合は、新しいカウンセラーにその理由とこれまでの流れを説明すると、ある程度スムーズにカウンセリングできます。
ペットロスになった自分にできること
周りの人たちやカウンセラーの助力があったとしても、結局のところ自分でできる事をやっていかなければ立ち直ることはできません。趣味を見つけたり、家族や友人と何気ない日常を送ったり……そうした些細なことからゆっくりとやっていきましょう。
特に趣味は心の安定を保つのに効果的です。音楽鑑賞や読書、ゲームもいいですね。ただ、その中でもおすすめなのは外に散歩しにいくこと。お金をかけず、天気の良い日にただ歩くだけでも健康維持ができる上に精神的にも安定します。
社会人の方は有給を取るのもいいでしょう。「でも有給って取っていいの？」と思うかもしれませんが、本来有給の取得に特別な理由はいりません。それに「落ち込んでいるからゆっくりしたい」は十分に取得する意味のある理由です。
ペットロスになった自分を受け入れる
ペットロス症候群は、ペットに愛情を注いできたからこそ発症しうる心の病です。日常生活に支障がありますし、早めに治すにこしたことはありませんが、だからといって無理に自分を追い込む必要はありません。まして、周囲の心無い言葉や仕事の重圧に押しつぶされる事もないです。
「自分は本当にペットを大切にしていたんだ」とペットロスになった自分を受け入れ、ゆっくり焦らずもとの生活を取り戻していきましょう。
