小型犬と大型犬の飼育上の違いについて

古くから犬は人間のパートナーとして親しまれており、現在でもペットとして最もメジャーな部類に入っています。ところで、皆さんは犬と聞いて思い浮かべるのは小型犬と大型犬のどちらですか?どちらにも甲乙つけがたい魅力がありますが、一方でサイズ特有の注意点も存在します。

今回はそんな小型犬と大型犬の違いについて解説していきます。

目次

小型犬と大型犬の基準ってあるの?

小型犬と大型犬の魅力を語る前に、そもそもどんな基準で【大型犬】【中型犬】【小型犬】の3種類に分けられているのか知っていますか?実は、犬の大きさによる明確な基準は定められていません。より具体的に言えば、犬種ごとの平均サイズによる基準はありますが、いわゆる【どこまでが小型犬でどこまでが大型犬か】のような犬種を超えた全体的な基準がないのです。

ただし、イベントや病院等の施設などでは一般的に体重や体高によって独自に決めている事が多いです。特に体重による基準を採用している場所が大半であり、その場合は体重10kg未満を【小型犬】、体重25kgまでを【中型犬】、それ以上の体重だと【大型犬】に分類されています。中型犬と大型犬の区別がやや曖昧で、体重上では中型犬でも犬種や体格によっては大型犬と判断されるケースもあります。

大型犬の魅力と注意すべき点

人間の【パートナー】としての犬なら、まず真っ先に大型犬を思い浮かべる方も多いでしょう。映画などでも主人公や仲間たちの相棒として描かれることが多いですね。

ここではそんな大型犬の魅力や注意してほしいことについて見ていきましょう。

飼い主と楽しく運動できる

大型犬は1日に必要な運動量も多く、体力や身体能力も小型犬よりあります。ドッグランやアジリティなどでも走り回ってはしゃぐ大型犬をよく見かけますよね。毎日の散歩はもちろん、愛犬と一緒に楽しく運動したい人にはピッタリと言えます。ちゃんと飼育すれば成犬になった時に体格や筋肉もしっかり出来上がるので、激しい運動をしても怪我しにくいのもアウトドア派には魅力的。

反面、家に篭っていては必要な運動量を確保できず、肥満やストレスを抱える原因になります。また、散歩にかかる時間も30分〜1時間ほどかかります。インドア派の人やあまり時間を多く取れない人だと注意しなければいけませんね。

賢い犬が多い

大型犬や中型犬の中には牧羊犬や警察犬、盲導犬として育てられてきた犬種も多く、そうした歴史を持つ犬種は総じて知性が高い傾向にあります。例えば、ボーダー・コリーは全ての犬種の中で最も知性が高いと言われておりますし、ジャーマン・シェパードは警察犬としても優秀です。盲導犬で言えば、ラブラドール・レトリーバーが有名ですね。

ただし、知性が高いと言っても幼い頃からちゃんとした教育を受けてきた場合のみに限られます。例としてあげたジャーマン・シェパードは特に教育の有無が性格に多大な影響を与え、教育された子は賢く忠誠心も高い名犬となり、教育されていない子は攻撃的で支配欲が強い危険な犬になるとされます。また、成犬になってからの軌道修正も難易度が高いです。

もちろん教育そのものは小型犬にも必要ですが、大型犬や中型犬は顎の力が強い分、しっかりとコントロールできるだけの教育が重要になってきます。

飼育費用が高くなりがち

大型犬を飼育するならまず気になるのは飼育にかかる費用がどれほどかでしょう。当然ながら、小型犬よりも飼育費用が高くなる傾向があります。具体的には年間で40万〜45万円ほどかかるとされており、その内訳も小型犬と全く異なってきます。

大型犬は小型犬よりも頑丈な事もあって病気や怪我の治療費が安くなりがちですが、一方で食事代やトレーニングにかかる費用が小型犬よりも数倍ほど高くなる傾向が強いです。病気や怪我の頻度は毎回違ってくるため、必ずかかってくる食事代などの固定費がより高く感じてくるかもしれませんね。

飼育難易度が高い

大型犬は体重30kg以上体高60cm以上も珍しくない分類ですので、飼育する上での課題点も多くあります。その中でも特に【しつけ】と【介護】は覚悟しておいた方がいいでしょう。

まずしつけに関してですが、噛む力も膂力もあるため、一度暴れてしまうと被害も多いです。自分の家の中ならともかく、その力が見ず知らずの他人に向かえば目も当てられません。そのためしつけの重要性が高く、それに耐えられるだけの体力と精神力が飼い主に求められます。

次に介護に関してですがこちらも大変。大型犬の体格と体重を抱えたり病院に連れていくともなれば、女性はもちろん男性であってもかなりの重労働となります。

小型犬の魅力と注意すべき点

人間のパートナーが大型犬ならば、小型犬は人間のアイドル的存在と言っても過言ではありません。日本ではペットの犬なら小型犬をイメージする人も多いでしょう。

ここではそんな小型犬の魅力や注意してほしい事について見ていきます。

飼育費用を抑えられる

大型犬の飼育費用は小型犬よりも高いという事は先に説明した通りですが、これは【小型犬の飼育費用は安く済む】という意味でもあります。小型犬の1年での飼育費用は30万前後とされており、食事代やトレーニング代などの固定費が大型犬よりも安くなる傾向があります。

ただ、小型犬はアレルギー性皮膚炎などの遺伝性疾患を患いやすく、治療費などの不意に出ていくお金には気を付けた方がいいでしょう。特に保険に加入していない場合は10万円以上する事も珍しくありません。固定費の他にも、万が一のための貯金もしておきたいですね。

飼育スペースの確保が容易

ペットを飼育するなら、その飼育のためにある程度のスペースを確保する必要があります。少し前まで犬と言えば庭に犬小屋を設置して外飼いするのが主流でしたが、現在では安全面から室内で飼育するのが基本となっています。大型犬はスペースの確保も大変ですが、小型犬であれば日本の家屋でも問題なく室内飼いできますね。

また、チワワなどの一部の超小型犬は室内でも最低限の運動量を確保しやすいのも魅力の一つです。もちろん可能な限り散歩には連れて行った方がいいですが、天候などの都合でどうしても外に出られない場合はボール遊びなど室内でもできる遊びを取り入れましょう。

遺伝性疾患持ちが多い

先程も少しだけ触れたように、小型犬には遺伝子疾患を持つ子が多いです。例えばミニチュア・ダックスフントは椎間板ヘルニアが多いという話は有名ですね。理由としてよくある説としては、小型犬はペットとして人気な点から需要が高く、無理な繁殖が横行してしまって遺伝性疾患が多くなったとされています。

特に人気な犬種で遺伝性疾患が多いのは【トイ・プードル】【チワワ】【ポメラニアン】【ミニチュアダックフント】などが挙げられます。小型犬を飼育する際は遺伝性疾患がないか検査したり、むやみな繁殖をさせないように心がけましょう。

神経質な子が多い

小型犬はその名の通り小柄な体格をしているため、ほとんどの子は警戒心が強かったり神経質だったりします。うまく教育すれば番犬にもなれる犬種(チワワ等)もいますが、基本的には臆病かつ好奇心強めという性質が表に出てきやすいですね。また、守ってもらえる存在である飼い主に対する依存度も高めです。

小型犬を飼育する時はしつけはもろちん、こまめなスキンシップを取って緊張を解してあげましょう。

大型犬と小型犬を分ける飼育上の違い

大型犬と小型犬を分けるのは【飼育できるスペース】【費用面】【時間の確保】です。大型犬は十分な部屋スペースや高い飼育費用、毎日の運動時間を確保しなければいけません。小型犬の場合はスペースの確保や費用面的には優しめですが、病気になりやすいため突発的な医療費も考慮する事になります。

また、どんな犬種であっても魅力と欠点は必ず存在します。賢いけどしつけしないと凶暴な犬もいれば、甘えん坊で神経質な犬まで【個性】というものがあるのです。飼い主になるからには、そんな魅力も欠点も含めて愛情を持って接してあげましょう。

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