犬を飼うなら子犬の時からやっておきたいしつけ。しかし、最近は【しつけ】という言葉そのものが虐待やいじめといったマイナスなイメージがある事もあって、しつけの重要性について疑問を抱く飼い主が増えています。
そこで、今回はしつけの重要性やどんなしつけをしたらいいのかについて解説していきます。
目次
犬のしつけの重要性
しつけは決してマイナスなものではなく、むしろ愛犬や周りの人たちを守る事に繋がります。ここでは、犬のしつけの重要性について見ていきましょう。
事故や怪我を防ぐ
犬にしつけを施す一番の目的は、犬を事故や怪我などの危険から守る事です。例えば、散歩中に飼い主のコントロールから外れて車道にいきなり飛び出したりなんかしたら危ないですよね。そんな事にならないように、【散歩中はリードを引っ張らない】【飼い主の止まれという言葉で止まる】などが出来るようにしておきたいです。
また、ガラスやトゲなどの危険な物に近づかないようにするのもしつけです。特に好奇心の強い犬は周りが危険な物で溢れていても構わず歩く事もあり、しつけをしていないとそれらを踏んで怪我してしまうかもしれません。
【交通事故を防ぐ】【危険から遠ざける】この2点を教える事がしつけの最も重要な役割と言えるでしょう。
問題行動を防ぐ
しつけには物事の善悪を教えるという目的もあります。簡単に言えば「これはやってはいけない事」と犬に理解させる事で、問題行動を未然に防ぐわけですね。しつけが出来ていないと善悪の基準が分からないため、嫌なことがあるとすぐ吠えだしたり、人の気を引きたいからと部屋中を散らかすといった行動を取る可能性があります。
犬は人間ではありませんが、ペットの犬は人間社会の中で暮らしています。そして人間社会にいる以上、どこかで人間のルールを覚えて守らなくてはいけない場面もあるでしょう。しつけはそんな人間社会に溶け込むための教育の時間でもあるのです。
ストレスに強い子に育てる
しつけには【命令を聞く】【問題行動を防ぐ】といった飼い主主体のものだけでなく、【犬をストレスに強い子に育てる】という目的もあります。これは具体的な物で言えばお留守番やトイレトレーニングといったしつけが該当しますね。
お留守番に慣れていない子は飼い主と離れると分離不安を起こす可能性がありますし、トイレの場所が分からないとあちこちに粗相をして不衛生な環境となり、結果的にストレスを抱える事になります。愛犬をストレスから守るためにも、そして愛犬自身がストレスに強くなるためにも、しつけは大切なのです。
人に危害を加える可能性がある
犬は確かに可愛い動物ですが、その牙と爪は肉食動物として優秀だった頃のままです。しつけが十分に出来ていない犬の中には内にある本能や凶暴性を発露する子も多く、飼い主や見ず知らずの通行人に怪我を負わせてしまう可能性があります。犬をペットとして飼育する以上、他人に迷惑をかける事だけは決してあってはなりません。
しつけには犬の心を落ち着かせたり、むやみやたらに相手を攻撃しないようにする役割もあります。しっかりとした教育を心がけ、賢い犬に育てたいですね。
やっておきたい犬のしつけ
一言で【しつけ】と言っても様々なものがありますが、やはり【犬や周りの人に悪影響を与えない】ためのしつけは優先的にやっておきたいですね。ここでは、そんなしつけについて見ていきます。
アイコンタクト
アイコンタクトは自分の目と相手の目を合わせる行為ですが、愛犬とのアイコンタクトトレーニングには【犬の意識を飼い主に向けさせる】【集中させる】といった目的として使われます。訓練する事でどんな状況でも飼い主の方へ集中するため、その後のしつけもスムーズになります。正に基礎中の基礎と呼ぶに相応しいしつけですね。
更にアイコンタクトが上手くなってくると、知らない場所で緊張していたり興奮しているなどの状況下でもアイコンタクトができるようになります。外出中のトラブルも未然に防げますよ。
トイレトレーニング
「しつけといったらコレ」とも言われるほど代表的なトイレトレーニング。部屋の至るところで粗相をされるとそのたびに掃除や除菌をしなければいけませんし、なにより不衛生な印象が残ります。犬も自分でトイレするための場所を把握できないため、ずっと粗相を繰り返してしまう事も……。
トイレトレーニングの際は【静かな場所に設置する】【粗相をしても怒らない】を意識しましょう。騒がしい場所にトイレを設置しても警戒しておしっこしてくれません。また、粗相をしたからと怒ってしまっては、犬に【おしっこ=ダメ】のような誤解を招きます。トレーニング中に粗相をしたら、慌てずに淡々と掃除しましょう。
人に慣れる訓練
外出中は飼い主だけでなく、他の人とも交流する機会があります。誰かとお話をしている時に、その人が飼い犬を撫でようとする事もあるかもしれません。そんな時、飼い主以外の人に触られるのに慣れていない犬だと、びっくりして相手に噛み付いてしまう可能性があります。
家を泥棒から守る番犬ならともかく、普通のペットとして飼育するなら人に慣れるための訓練はやっておいた方がいいでしょう。
犬の行動を止めさせる訓練
犬の【食べる】や【移動する】などの行動を中止させるためのしつけの事を指します。一見するとただの嫌がらせのように思えるかもしれませんが、これは【誤飲】【危ない場所に行く】といった危険な状況から守るための訓練です。そういった意味では、アイコンタクトトレーニングと近いですね。
特に誤飲は喉を詰まらせて呼吸困難になったり、毒物を食べて中毒になる可能性があります。少なくても、変な物を食べてしまった時にすぐ「ぺっ」と吐き出させるしつけはしておきましょう。
犬のしつけをする際に意識すること
しつけは教育の一つですが、だからこそ【スキンシップ】と【しつけ】の境目ははっきりさせておく必要があります。ここでは、しつけをする時に意識してほしい事について見ていきます。
しつけの後はご褒美か褒める
しつけが上手く行ったらご褒美を与えるか、少なくても褒めてあげる事が重要です。そもそもしつけで教える事の多くは人間社会では必要な事でも、犬にとっては知らない事ばかり。ご褒美を与えたり褒めてあげる事で、【こうすると飼い主が褒めてくれる】と認識してくれます。
ただし、ご褒美としておやつを与えるならカロリーや塩分などの栄養価だけは注意しましょう。
叱る時は【すぐ】と【しっかり】を忘れずに
犬が何か問題を起こした際、必ずその場でしっかりと叱るようにしてください。後から気づいて叱ったとしても、言葉が分からない犬は何が原因で叱られているのか理解できません。また、飼い主が笑っていたり甘え声で叱るのもいけません。怒鳴るのはNGですが、犬に【自分は○○が原因で今叱られている】という認識はしっかり持たせるようにしましょう。
家族でしけつをする場合
犬を家族で飼育しているご家庭も多いかと思いますが、その際はしつけも家族で統一させる必要があります。例えば、「待て!」を「ストップ!」と言ってしまっては犬が混乱してしまいますよね?これではしつけの効果は期待できません。
家族でしつけをする際は事前に話し合うなどして、どんなしつけをするのか決めておきましょう。
犬にとってしつけとは
しつけは時々「可哀想」と批判される事がありますが、きちんとしつけがされていない犬は自分も周りも不幸にしてしまいます。もちろん行き過ぎたしつけは止めさせるべきですが、正しいしつけはむしろ賢い名犬にするために必要不可欠な要素です。
犬のしつけは犬自身を守るためにあるもの。ぜひ正しいしつけで愛犬を守ってあげてください。