犬のストレスを溜めてしまう原因と解消法について

人も犬も、ストレスを溜めすぎると身体を壊してしまいます。私たちは自分で趣味を見つけてストレスを解消できますが、ペットの場合は飼い主が積極的にストレスを解消させてあげなければなりません。

そこで今回は犬にとって何がストレスなのか、どうすればストレスを解消させてあげられるのかについてお話していきます。

目次

犬がストレスを感じてしまう要因

犬は同じくペットとして人気な猫とは違って外で身体を動かしたり、群れの中で仲良く生活するのを好みます。逆を言えば、それらが満たされていないとストレスとなってしまいます。まずは犬がストレスを感じる要因について見ていきましょう。

犬を長時間留守番させる

犬は人と同じく社会を作って暮らしてきた動物で、基本的に1匹で生きていくような力はありません。『1匹だけ飼っている』場合も、実際には飼い主と一緒に暮らしているわけなので厳密には1匹だけとは言えませんね。

そのため、飼い主がいない=犬しかいないという状況は今まで生きてきた環境とまるで違うため、孤独感や恐怖感といった精神的なストレスを抱える要因になります。まして、犬のほとんどは『野犬上がりの子』か『ペットショップ等で可愛がられていた子』です。群れのリーダーたる飼い主がいない環境に慣れろと言う方が無理難題でしょう。

数時間程度の留守番なら訓練次第で可能ですが、数日かけて留守番させる事はおすすめできません。どうしても置いていかないといけない場合は、ペットホテルかペットシッターに預けましょう。

思い切り身体を動かせる時間が少ない

犬にとって運動とはとても大切な意味があり、気分転換のために必要な行動でもあります。最近は新型コロナウイルスなどの影響で「外に散歩しに行きたくない」という方もちらほら増えてきてますが、基本的に『絶対に散歩はした方がいい』です。

というのも、本来犬というのは1日の半分以上を狩りなどで移動して生きている動物です。毎日外を歩いていた人が、とたんに娯楽も何もない家に閉じ込められたらどう思うでしょうか?きっと退屈でストレスが溜まっていく一方だと思いますが、犬もそれと同じというわけです。

これは犬と散歩以外の方法で、スキンシップを取っているという場合でも同様です。散歩はスキンシップの一環ではありますが、スキンシップは散歩の代わりにはなりません。

生活環境によるストレス

これはペット全体に言えることですが、彼らにとって自宅とは唯一無二のテリトリーでもあります。そんなテリトリーの生活環境が飼育に合っていなかったら、ストレスが溜まるのも無理はありません。

例えば、真夜中でも車の音が頻繁に聞こえる、来客が多いなど、犬にとって刺激が強いイベントはストレスが溜まる原因になります。もともといた環境や子犬時代の訓練にもよりますが、車の音を聞いただけで吠えだすというケースも少なくありません。

必ずしも静かな環境以外で犬を飼ってはいけないというわけではありませんが、防音設備や騒音対策がしっかりしている場所をおすすめします。

見逃せない犬のストレスサイン

犬がストレスを感じている時は、それを飼い主に理解してもらおうと様々な要求行動をします。犬を飼っている以上、そのサインを見逃さない事が大切になってくるでしょう。ここでは犬のストレスの度合いによるサインについて見ていきます。

ストレスサイン(小)

「〜したい」「〜してほしい」といった軽い欲求程度なら私達でもよくありますし、それが原因で体調を崩す事はあまりありませんよね。犬の場合も同じ事で、多少のストレスでは日常生活に支障は起きません。ストレスサインも『カーミングシグナル』という肉体を使ったコミュニケーションです。

このカーミングシグナルのうち、特に飼い主への要求や気分を落ち着かせたい時に出すサインについて軽く見ていきます。

・体をブルブルと震わせる

来客や散歩中の人など、あまり交流のない人や犬が来たときに行う仕草です。

・地面の匂いを嗅ぐ

気分を落ち着かせたいときに行う仕草です。

・あくび

不快感やストレスを感じているときに、気持ちを安定させるために行う仕草です。

・頭を振る

不快感や不安感などから来る、マイナスな感情を表現する時に行う仕草です。

ストレスサイン(中)

カーミングシグナルなどの要求行動を無視してしまうと、犬も徐々に過激な行動で注意を引こうとしてきます。中には飼い主や周囲の人に被害が出てしまうものもあるため、なるべくこの段階になる前にストレスを解消させてあげましょう。それでは、サインを簡単に見ていきます。

・攻撃的になる

唸ったり、吠えたりなどで注意を引こうとする他、周囲の人や犬に対して噛み付こうとする事もあります。

・逃げる

ストレスが溜まっていると、その場から離れようと逃げ出す事があります。

・呼吸が激しい

人が怒ると呼吸が荒くなるのと同じように、犬もストレスが溜まると呼吸が激しくなります。

ストレスサイン(大)

上記のサインを更に無視したり、多大なストレスを一気に与えてしまうと、精神的に不安定な状態になったり体調不良になる事があります。また、ストレスで免疫力が落ちているため様々な病気にかかりやすくなってしまいます。

ここまで来てしまうと飼い主だけの力で解決するのは難しいため、獣医師に相談するようにしましょう。それでは、具体的なサインについて見ていきます。

・下痢や嘔吐

典型的なストレス性の下痢や嘔吐です。また、これらが原因で脱水症状を引き起こします事もあります。

・元気が無くなる

精神的に不調になり、散歩やスキンシップに関心を持たなくなります。

・皮膚を過剰に舐める

ストレスを紛らわせる為に、舐めた箇所が炎症を起こすぐらい過剰に舐める事があります。

・自分の尻尾をずっと追いかける

少しの間だけなら遊びの範疇ですが、数分も追いかけている場合はストレスを紛らわせる為に行っている可能性が高いです。

犬のストレスを発散させる方法

ストレスとは、毎日少なからず溜まっていくもの。大切なのはそれをどう解消していくかです。ということで、ここからは犬のストレスを発散させる方法について見ていきましょう。

毎日の運動

毎日の運動が健康に繋がるのは人間も犬も同じことで、肥満防止や身体の筋肉を維持するのに効果的です。特に犬にとって散歩は本能的な欲求を満たせるだけでなく、飼い主とのスキンシップも出来る最高の時間だと言えるでしょう。また、散歩以外でも、近場にドッグランやアジリティなどがあれば楽しく運動できます。

ただし、過度な運動はかえって足や関節を痛めてしまい、怪我につながります。最適な運動量は犬のサイズや犬種によって変わってきますので、まずは愛犬がどれくらい運動できるのかを確かめてみましょう。基本的に日本で好まれる小型~中型犬あたりなら、散歩だと20〜40分くらいがベストです。

あとは愛犬のその日のコンディションを見ながら微調節してあげてください。

噛むタイプのおやつやおもちゃ

犬は噛む事でストレスを解消させようとする事が多いため、噛み応えのあるおやつやロープなどの噛ませるおもちゃがあるとストレス解消に効果的です。ただ、おやつは与えすぎるとカロリー過多になるため、基本的にはおもちゃで遊ばせましょう。

おもちゃで遊ばせる時はなるべく飼い主も一緒だと、スキンシップも出来て一石二鳥です。

過度なストレスは万病のもとです

適度なストレスは刺激を与えてくれますが、過度に溜め込めば身体の不調につながります。犬も小さなストレスは要求行動だけをしてきますが、大きくなってくると問題行動だけでなく下痢や嘔吐などの健康面を著しく害する症状が出てきます。

日頃から愛犬のストレスをうまくコントロールし、あくまで『毎日の刺激』程度に抑えてあげましょう。

天国への扉コラム