犬や猫も苦しんでいる?花粉症の症状や対策について

春の陽気がなんとも気持ちいい時期になりましたが、一方で花粉に悩まされる事も多くなりました。人はもちろん、実は犬や猫も花粉症を発症してしまう可能性があります。

今回は犬や猫の花粉症の症状や、花粉から守るための方法について解説していきます。

目次

犬や猫でも花粉症になる?

犬や猫にも免疫がある以上、花粉症を発症する可能性は十分にあります。まずは花粉症について簡単に解説します。

花粉症のメカニズム

花粉症は、一言で言えば『花粉によって身体に起きるアレルギー反応』です。

メカニズムでいけば、まず体内に花粉というアレルゲンが侵入する事で抗体が作られ、その抗体がマスト細胞と結合します。その後、再度アレルゲンが侵入する事でヒスタミンなどの化学物質が放出される事で、皮膚の痒みやくしゃみといったアレルギー反応が引き起こされます。

アレルゲンとなる花粉には個体差があり、花粉の種類が増えた現代では「いままで花粉症にかかったことがない」という犬や猫でも、ある日急に花粉症を発症したというケースは珍しくありません。

犬や猫って花粉症になるの?

花粉症は人間だけに起きるものだと思われがちですが、実際は犬や猫も含めて様々な動物が発症する可能性があります。そもそも花粉症とは言ってしまえばアレルギー反応ですので、免疫を持つ動物なら誰でも起こり得るものなのです。

ただ、花粉症はあくまで数あるアレルギー反応の一つでしかなく、明確に『花粉が原因』とされるケースは少ないとのこと。症例や論文が少ない動物の場合、アレルギー反応が起きたとしても、それが花粉のせいなのか、それとも別の何かのせいなのか断言できないのです。

花粉症は根本的な治療が難しい

私たち人間は、花粉症で苦しめられているにも関わらず、基本的に症状を緩和させながら暮らしていますよね。犬や猫の花粉症も根本的な治療が難しく、多くは現れた症状に対して対処療法していく事が多いです。例えば痒みが現れた場合は、ステロイド剤や抗ヒスタミン剤を処方して症状を緩和させます。

花粉症にならないためには、アレルゲンに近づかないなどの基本的な対策を徹底していくのが一番なのです。

花粉症以外のアレルギー

犬や猫の中には、花粉といった季節特有のものに関係なく鼻炎などの症状になりやすい子がいます。実は花粉などの季節性アレルギー性鼻炎とは別に、一年中アレルギー反応に悩まされる通年性アレルギー性鼻炎というものがあります。

これは主にハウスダストやダニ、衣服の繊維などがアレルゲンになり、花粉症と同じような症状が引き起こされます。症状の重さには個体差がありますが、アレルギー持ちの子を飼う際はこまめな室内掃除が必要不可欠です。

犬や猫の花粉症の症状

犬や猫の花粉症の症状には、人と同じものもあれば人にはあまり見られないものもあります。ここからは、犬や猫の花粉症にはどのような症状が見られるのか解説します。

犬と猫の症状の違い

犬と猫では、花粉症になった時の症状の出やすさに違いがあります。一概に症状を断定する事はできませんが、目安として覚えておきましょう。

犬の場合は外耳炎や皮膚炎など、皮膚疾患が多いです。そのため、皮膚を過剰に掻きむしったり、耳を気にするようであれば花粉症を疑いましょう。また、目が充血する事も多いです。

猫の場合は皮膚疾患も多いですが、鼻炎やくしゃみといった人とよく似た症状が多いのも特徴。特に鼻炎や気管支炎(猫喘息)を起こしやすく、症状によっては危険な状態になる事もあります。

皮膚のかゆみや炎症

犬や猫の症状として多く現れるのが皮膚の痒みや炎症といった皮膚の症状です。皮膚や耳の周辺が赤くなり、傍目からでも普段との違いが分かりやすく出てきます。

症状そのものも脅威ですが、何よりも問題なのはペットが痒みを我慢できないことです。患部を舐めたり掻いてしまうため、皮膚に傷がついたり、そこから細菌が侵入して感染症を発症する可能性があります。ペットに直接「掻かないで」とは言えないため、物理的に患部に触れられないような対策が必要です。

目やにや涙が出る

目に花粉が付着すると、マスト細胞と結合した抗体がヒスタミンを放出し、目を充血させたり、目やにや涙を出すといった症状を引き起こします。この状態をアレルギー性結膜炎と呼び、放置すると結膜が充血してしまい、まぶたが腫れ上がる可能性があります。

くしゃみや鼻水

人間にとって馴染み深いであろうくしゃみや鼻水といった鼻炎関係の症状ですが、犬や猫にも同じ症状が現れます。

特に猫はこの症状を起こしやすく、重症になると呼吸困難や喘息のような状態になることもあります。これをアレルギー性気管支炎(猫喘息)と呼び、早急な治療が必要なケースも多いです。

犬や猫に出来る花粉症対策

花粉に対してアレルギーがあると分かったのなら、花粉症にならないための対策が必要ですよね。ここからは、花粉症対策について解説します。

花粉が舞いやすい時間帯を把握する

花粉には舞いやすい時間帯と落ち着く時間帯があり、ピーク時を避けて行動する事で花粉症を軽くする事ができます。特に犬は毎日の散歩ががあるため、外出する際は時間帯に気を配る必要があるでしょう。

具体例を挙げると、杉やヒノキの花粉は早朝に山から町まで飛んでくるため、午前中に1回目のピークが訪れます。午後には少し落ち着きますが、気温が低くなる夕方以降は対流によって再び花粉が舞い上がり2回目のピークを迎え、最後に夜に落ち着きます。

つまり、『午前中』と『夕方』を避けるように外出する事で、花粉の被害を抑えられます。

外出後は玄関で花粉を落とす

仕事や散歩で外出した後、そのまま室内に入ると花粉まで一緒に部屋まで侵入してしまいます。家に帰る時に玄関で花粉をしっかりと落としましょう。犬の場合はブラッシングや、水で軽く濡らしたタオルで身体を拭く事で花粉を落とせます。

また、車でも同じ事が言えます。花粉を落としてから車に入らないと、車内に花粉が入り込んでしまい、運転中ずっと花粉の脅威に晒される事になります。シチュエーションによっては花粉を落とせない場面もあるため、車内に設置可能なポータブル空気洗浄機も検討しましょう。

ペット用の服を着せる

人がマスクを付けるように、ペットにも服を着せてあげる事で皮膚に花粉が付着するのを防げます。散歩帰りに服を脱がして身体を軽く拭くだけで、ある程度花粉を落とす事ができるのも大きなメリットですね。

ただし、服に覆われていない部分には花粉が付着しますし、そもそもペットが服を嫌がる事もあるため過信は禁物です。

犬や猫も花粉症で苦しんでいる

人が花粉症で苦しむように、犬や猫も花粉にアレルギーを持つ子がいます。症状の重さによっては危険な状態になる事もあるため、「花粉症かな?」と不安に思ったのなら動物病院でアレルギー検査を受けさせるのをおすすめします。

また、花粉自体を避ける事も必要です。散歩の時間を調整したり、こまめに掃除するなどの対策をしっかり行い、花粉症の脅威からペットを守りましょう。

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