猫がかかりやすい病気3選とその予防法について

気分屋でいつも堂々としている印象が強い猫ですが、実際はとても繊細な一面を持っています。ストレスに弱く、過度なストレスは胃腸炎などの病気を引き起こす可能性が高いですし、それ以外でも水をあまり飲みたがらない子は腎臓や膀胱に関連する病気を発症しやすいです。

そこで今回は、猫がかかりやすい病気とその予防法についてお話していきます。

目次

猫がかかりやすい病気その1 慢性腎不全

慢性腎不全は一度発症すると一生向き合う事になります。詳しい症状について見ていきましょう。

猫の慢性腎不全

慢性腎不全は猫がかかりやすい病気の中で一番知名度が高い病気なのではないでしょうか。別名慢性腎臓病とも呼ぶ病気で、その名の通り腎臓の機能がうまく仕事できていない状態の事を指します。腎臓は血液をろ過して、体の中の老廃物や毒素を尿と一緒に排出してくれるのですが、慢性腎不全はそれが満足に出来なくなります。

その結果、老廃物や毒素がどんどん溜まっていき、頭痛や吐き気など様々な悪影響を及ぼすようになってきます。また、腎臓に限らず一度死んだ細胞は再生しないため、病気が完治する事もなく、治療も病気の進行を遅らせる事しかできません。

慢性腎不全の主な症状

慢性腎不全は初期段階での発見が難しい病気として知られています。初期症状では多飲多尿くらいしか見られず、猫自身も日常行動に何ら変化が現れないためです。しかし、実はこの状態でもすでに腎機能の25%しか生き残っていません。そのため早期発見が難しい病気ながら、定期的な健康診断などで可能な限り早めに見つけたい病気でもあるのです。

軽い症状では先述した多尿多尿、そのままどんどん毒素が溜まっていくと『尿毒症』という病気を発症します。この段階まで来ると吐き気や頭痛の他、むくみや動悸なども見られ、猫自身も明らかに元気が無くなってしまいます。

尿毒症が深刻化していくと、最終的に集中治療がなければ生命維持が困難なレベルにまで発展します。

慢性腎不全の予防法

そもそもなぜ猫が慢性腎不全になりやすいか、それは『水を全然飲まないから』です。猫の祖先は砂漠で暮らしていたため、水分を取らずに生き残れるように進化してきました。その結果、今の飼い猫もあまり水を飲まず、腎臓への負担も大きくなりやすいというわけですね。

そのため、慢性腎不全の予防としてはとにかく適切な水分補給をさせることが挙げられます。特に水をあまり飲みたがらない場合はウェットフードやスープなどでサポートしてあげる、水飲み場を複数箇所設置するといった方法が効果的です。

また、前項でお話したように慢性腎不全は早期発見が難しい病気です。定期的に動物病院で健康診断を受けさせましょう。

猫がかかりやすい病気その2 尿路結石

尿路結石はサイズの大きいものは命に関わる病気です。詳しい症状や予防法について見ていきましょう。

猫の尿路結石

尿路結石は、尿の流れ道である腎臓、尿管、膀胱、尿道のどこかに結石が出来ている状態の事です。特にオス猫は尿道が長く、尿路結石になりやすいとされています。もちろん、メス猫なら安全というわけではありませんのでご注意ください。

結石の種類はいくつかあり、猫の場合はストラバイトというミネラル成分が結晶化したものと、シュウ酸カルシウムの2つがほとんどです。このうち、ストラバイトは療法食で溶かすことができますが、シュウ酸カルシウムは療法食では溶かせません。

結石のサイズは大小さまざまで、目に見えないほど小さいものもあれば、3mm程度の小粒ぐらいの大きさになるものまであります。小さいものは尿と一緒に流れてくれますが、大きいものは逆に尿道を塞いでしまうため大変危険です。

尿路結石の主な症状

前項でお話したように尿路結石は尿の通り道にできるため、症状も尿や腎臓に関するものが多いです。例えば多飲多尿や尿の回数に比べて尿の量が少ない、トイレをする時に痛そうにする、血尿が出る、粗相を繰り返すなどは尿路結石の典型的な症状の一つです。これらは全て、『結石が尿の流れを悪くさせたり、尿道を傷つけている』事が原因で起こっています。

結石が大きくなると尿を完全に防いでしまう尿道閉塞を引き起こす可能性があります。この状態になると尿が放出できないために膀胱が破裂する、腎不全になるなど危険な症状が出てしまいます。

また、尿を塞ぐということは尿の中にある毒素を排出できないという事でもあります。この状態を尿毒症と呼び、早急に治療しないと死につながります。

尿路結石の予防法

尿路結石は尿の通り道に結石ができる病気、言い換えれば『適切な排尿』をするのが一番の予防法になります。常に新鮮な水を用意して、必要であればウェットフードやスープも取り入れましょう。おしっこは量や色、においに異常がないかなどを確認してください。

適切な食事や運動も効果的です。食事は結石の成分でもあるカルシウムやリンは控えめに、動物専門の管理栄養士や獣医師と相談しながらメニューを決めましょう。また、肥満は尿道を狭くして尿道閉塞になるリスクを高めます。適度に運動させて、肥満になり辛い身体づくりを心がけてください。

猫がかかりやすい病気その3 胃腸炎

胃腸炎は重くなることはあまり無いですが、身体の免疫力を落としてしまいます。詳しい症状や予防法について見ていきましょう。

猫の胃腸炎

胃腸炎は何らかの原因で胃や腸に炎症が起きてしまい、下痢や腹痛を引き起こしている状態の事です。主な原因は食べすぎによる胃への負担やストレス、ウイルスなどが挙げられます。

また胃腸炎には急性のものと慢性のものの2種類があり、症状そのものにあまり違いはありませんが、急性胃腸炎は数日程度で治まるのに対して慢性胃腸炎は長期間にわたって症状が続きます。

胃腸炎の主な症状

胃腸炎には急性胃腸炎と慢性胃腸炎の2種類があることは説明した通りですが、基本的にはどちらも下痢や嘔吐などの症状が見られます。ただ、『期間の長さ』による影響力に違いがあります。

急性胃腸炎は軽度のものであれば猫の元気も良好なまま、また大体は2~3日程度で症状も治まります。ただし、症状が重い場合は下痢に血が混じったり、腹痛なども見られます。また、そのまま慢性胃腸炎になってしまう事もあります。

慢性胃腸炎は下痢や嘔吐が長期にわたって見られ、その影響で脱水症状に陥る可能性があります。また、猫の体力が徐々に落ちていき、その影響で身体の免疫力も低下していまい、様々な病気を併発するリスクも高くなります。

下痢や嘔吐は様々な病気の症状としてよく挙げられるものです。これらの症状が認められた場合は、はやめに動物病院を受診してください。

胃腸炎の予防法

猫の胃腸炎はウイルス性のものを除き、ほとんどが偏った食事や過度なストレスが原因です。よって、『適切な食事』と『過度なストレスを与えない』ことが重要になってきます。

食事面では油分の多いものは控え、市販のキャットフードを適切な量分だけ与えるようにしましょう。慣れない食べ物や飼い猫に合っていない食べ物は胃腸に負担を与えます。もし手作りご飯を与えたい場合は、決して自分だけで考えたりせず、管理栄養士や獣医師との相談のもと作るようにしましょう。

ストレス面では大きな音など猫をびっくりするような出来事を避け、キャットタワーや爪とぎなどのグッズを揃えておきます。また、スキンシップのし過ぎはかえって猫のストレスになるため、適度な距離感を意識しましょう。

愛猫の不調はすぐに動物病院に

猫の病気は、初期段階では傍目から見て分かりづらいです。もともと単独で暮らしてきた種族ですから、弱みを見せては生き残れなかったのでしょう。そのため、毎日の健康チェックや排泄の様子、定期的な健康診断が病気の早期発見のために必要なのです。

少しでも猫の体調に違和感があったら、すぐに動物病院に向かうようにしてください。

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