猫のダイエットは非常に難しいとされています。猫は犬のような激しい運動をしませんし、おもちゃを与えてもすぐに飽きてしまいがちなためです。
今回はそんな猫でも健康的でいられるように、適切な食事方法やダイエットについて解説していきます。
目次
猫の食事で意識したいこと
【生】の根本でありながら、肥満とも密接に関わってくる食事。ここでは、猫の食事において意識したいことについて見ていきます。
猫の食事の大切さに
食事は生きるために必要な要素であり、健康維持の根本にあるもの。猫でもそれは同じ事で、栄養バランスを考えた食事を与える事で、健康的で長生きできる生活を送ることができます。ここで言う栄養バランスとは、即ちタンパク質や脂質、ビタミンといった各種栄養素をバランス良く摂取できている状態の事です。
食事面においてはそれに加えて、猫の年齢や体重、病気等の健康状態に合わせた食事内容を考える事も重要です。過剰に食べて肥満になったり、食べなさすぎて栄養不足にならないようにしなければいけません。獣医師や管理栄養士のアドバイスを受けながら、その猫に合った適切な食事を与えましょう。
食事の適切なタイミングや回数は?
食事のタイミングや回数は、どれも健康維持や消化機能に大きな影響を及ぼします。例えば、成猫の場合は1日に2〜3回の食事が良いとされています。これは猫の胃への負担を考慮しつつ、十分な栄養摂取が出来るため。過度な食事は肥満だけでなく、消化不良などの不調を引き起こす可能性があります。
これが子猫になってくると、また回数は変わってきます。子猫の場合は消化機能がまだ発達途中であるため、食事回数を4〜5回に増やしつつ一度の食事量を減らすようにします。同じ理由から、老猫も回数を増やして胃に一気に負担がかからないようにすると、健康へと繋がります。
キャットフードの種類
猫のご飯であるキャットフードには主に【ドライタイプ】【セミモイストタイプ】【ウェットタイプ】の3種類があり、それぞれ特徴やメリットが異なります。猫の健康状態や味の好みに合わせたフードを選んであげましょう。
ドライタイプ: カリカリとも呼ばれるタイプで、水分含有量が10%以下のフードの事を指します。密封すれば長期保存ができますし、硬めの食感で顎の筋肉も鍛えられます。ただし、水分があまり含まれていないため、食事の際は近くにお水を用意してあげてください。
セミモイストフード: ドライタイプとウェットタイプのちょうど中間に当たるタイプで、水分含有量は25〜40%がほとんどです。保存性も良く食いつきも良好ですが、製品によっては添加物が含まれている事がありますので、特にアレルギー持ちの子は購入する前に成分表を確認しましょう。
ウェットフード: 水分含有量75%以上のフードタイプで、その名の通り水分を多く含んでいます。他のタイプよりも匂いが強く残り、食欲が無い子でも食いつきが良いのが特徴です。また、夏は水分補給のサポート役としても役立ちますね。ただし、他のタイプより高価な点と歯石が付きやすい点には注意が必要です。
猫の栄養バランス
栄養バランスが悪くなると、栄養失調などの様々な不調を招きます。ここでは、猫の栄養バランスについて見ていきます。
タンパク質、脂質、炭水化物の重要性
肉食動物である猫にとって、動物性タンパク質はとても重要な役割を持ちます。例えば筋肉の成長には必要不可欠な要素ですし、それ以外でも皮膚の健康や免疫能力にも繋がっておきます。猫の食事では、動物性タンパク質を優先的に摂取させましょう。
次に脂質。これはよくダイエットの天敵なんて言われ方をしますが、炭水化物をあまり取らない猫にとっては貴重なエネルギー源となります。過剰に摂取すれば身体に毒ですが、適切な量であればむしろ積極的に取らせた方がいいでしょう。
最後に炭水化物ですが、実は少量であれば健康維持に繋がります。そもそも肉食動物は炭水化物を取らないわけではなく、小さな獲物を丸ごと食べた時にカルシウムなどと一緒に炭水化物を摂取します。キャットフードが主体となった今、野菜や炭水化物を少量だけ取るなどの方法が望ましいでしょう。
カロリー摂取の過不足
猫の食事面において最も気を付けなければならないのがカロリー面です。適切な量のカロリー摂取は栄養面やエネルギー面から見ても重要ですが、一方で過剰なカロリー摂取は肥満のリスクを高める他に内臓疾患の可能性も出てきます。特に普段運動しない猫や老猫の場合は、更にカロリー量を意識する必要があります。
しかし、心配しすぎて無理なカロリー制限を強いるのも危険です。長期的なカロリー不足は栄養失調や痩せすぎて不健康になるリスクを抱える上に、若い猫の成長を妨げてしまいます。猫の年齢や健康状態に合わせたカロリー計算を意識したいですね。
おやつの正しい与え方
おやつは少量であればご褒美として最適ですが、過度に与えすぎると肥満の原因になります。おやつの与え方としては、何が適切なのでしょうか。
まず、【おやつは食事の一環】という認識を持つべきです。おやつも食べ物である以上、様々な栄養素を含んでいるため、カロリー量や添加物を含めて一日の必要量に達していないかどうか注意しましょう。また、嗜好性の高いおやつを与えている場合は、猫がそれ一辺倒にならないような配慮も必要です。
他にはおやつの頻度に関しても重要です。基本的には3日に1回程度が適切だと言われていますが、実際には各種栄養素の摂取量や猫の状態と相談しながら決めた方が良いでしょう。また、おやつの中には適切な与え方をパッケージや公式サイトに記載している物もあるため、そちらをメインに購入するのも手です。
猫のダイエット方法
猫のダイエットにおいて、無理は禁物。ここからは猫のダイエット方法について解説していきます。
なぜ太ってしまうのか
猫……というよりも生物全般に言える事ですが、太る理由はシンプルで摂取カロリーよりも消費カロリーの方が少ないためです。つまり、摂取カロリーを抑えつつ消費カロリーを上げれば痩せられるという事でもあります。しかし、ただ言葉にすれば簡単ですが、現実として猫のダイエットはかなり難易度が高いです。
そもそも消費カロリーとひと括りにしても、実際は運動量や基礎代謝(生きていれば勝手に消費されるエネルギー)、猫自身の筋肉量によって大きく変わってきます。特に運動量や筋肉量は、犬みたいに散歩しない猫にとってはかなり曲者。運動嫌いで肥満気味な猫は消費カロリーも少なくなりがちで、一度太ってしまうと痩せるまでには時間を要します。
つまり結論としては、猫の状態に合わせた食事内容で摂取カロリーを抑えて、運動量を増やして消費カロリーを上げる必要がある訳ですね。
食事の方法を変える
食事方法で注意すべきなのは、単純に量を減らしてカロリーを抑えるだけでは危険だと言う事です。量を減らすと、カロリーだけでなく必要な栄養素も取れなくなってくるため、栄養失調のリスクも考えられます。普段の食事面では、初めから低カロリーで栄養素も十分な【ダイエットフード】を選ぶと良いですね。
また、おやつを禁止もしくは回数を減らすのも効果的です。おやつはキャットフードと違って無くても生活に問題なく、かつ高カロリーな物が多いため、おやつを止めただけで痩せた猫もいるほど。ダイエット期間中はおやつを止めたり、おやつを与える際はその分だけ食事量を減らすなどの工夫をしましょう。
運動量を増やす
消費カロリーは運動量を増やして筋肉を維持させる事が重要です。しかし、猫は犬のように散歩したり激しい運動が好きなわけではありません。そもそも猫は走るような横の運動は好きではなく、本来の習性から昇り降りといった上下運動の方が大好き。
猫を飼育する時にはキャットタワーを設置する事を勧められますが、これは猫が大好きな上下運動を存分に行えるため。また、猫じゃらしのような猫の狩猟本能を刺激するタイプのおもちゃもおすすめです。
猫のために食事方法やダイエットを意識しよう
丸っこい猫は愛らしいものですが、それが肥満レベルに達していたら危険です。肥満はただ太るだけでなく、内臓への負担も大きいため生活習慣病のリスクも上がります。
猫が健康的に長生きする為には、正しい食事方法や状況に応じたダイエットを心がけていきたいですね。