猫が水を飲まない?水分不足が招く病気と対策について

「最近、家の猫が水をあんまり飲んでくれない」と感じた事はありませんか?猫は種族からして積極的に水分補給するタイプではありませんが、あまりにも水を飲まないと腎臓に過度な負担がかかったり、病気のリスクが高まります。

そこで今回は、猫が水を飲まない理由や対策方法、水分不足が招く病気について解説していきます。

目次

猫が水を飲まないのはなぜ?よくある理由4選

猫は水を飲みたがらないからといっても、生命維持のために水を飲む事はあります。ではなぜ、普段は水を飲まないのでしょうか?ここでは猫が水を飲まない理由について解説します。

もともと猫は水を飲まない動物

ペットとして人気な猫ですが、その祖先はリビアヤマネコという砂漠やサバンナなどに生息しているヤマネコだとされています。当然これらの場所では水源が少なく、そのため水が飲めない状態でも長く活動できるように進化してきました。簡単に言えば、腎臓に負担をかける代わりに飲水量を最小限に留めるようにしたのです。

イエネコとなった今でもその習性は残っており、水を積極的には飲まない理由の一つとなっています。ただし、それでも水が不要となったわけではなく、水分不足によって病気になる可能性もあります。猫にとって水とは、『あまり飲まないけど生きるために必要』なものなのです。

喉の渇きが実感できない

梅雨や冬といった全体的に湿度が高い時期は、汗を出しても蒸発しないため喉の渇きが実感しにくく、その結果として水分不足に陥る事があります。いわゆる『隠れ脱水』と呼ばれるもので、私たち人間も注意しなければならない症状の一つです。猫にも同じような状態になる事があり、快適な室内環境にしたからこそ脱水症状に気が付かないという可能性があります。

ただし、喉の渇きが実感できなくても水分は確実に身体から失っていきます。猫のためにも、『気分』ではなく『定期的』に水分補給できるようにしないといけません。水の配置方法や水飲み場を増やすなど、猫がほんの少しでも水が飲みたくなった時にすぐ飲めるような環境づくりをしましょう。

水飲み場の環境が気に食わない

猫は気まぐれかつ神経質な動物で、少しでも嫌なことがあるとストレスを感じたり、ストレスの原因から遠ざかるようになります。水分補給にしても同じことで、『お皿が汚かった』『他の猫も使用した』『水が汚れていた』などの飲みたくない理由があると水を飲みたがりません。最悪の場合、その場所や容器では水分補給をしなくなる事もあります。

何をしても水を飲んでくれない場合は、ただ単に水飲み場の環境が気に食わないだけかもしれません。

歯周病などの口内トラブルが発生している

猫は人間と違って虫歯になる事はありませんが、代わりに歯石が出来やすく歯周病などの他の口内トラブルが発生しやすいです。歯周病や歯肉炎になると水が染みて痛みを感じてしまうので、猫がそれを嫌って水を飲まなくなります。また、口内トラブルでなくても、口周りを切ってしまっているなどでも、同じことが言えますね。

普段から水を飲まないのではなく、『突然水を飲まなくなった』『水そのものを避けるようになった』のであれば、何か口内トラブルを抱えているのかもしれません。念のために一度動物病院で口内を検査してもらいましょう。

猫の水分不足を解消する方法

水分不足が身体に悪影響を及ぼすのは猫も同じこと。ここからは、猫が水分不足にならないような対策について解説します。

猫のお気に入りの場所に水飲み場を設置する

猫の水飲み場の基本は、トイレから離れた場所かつ食事する場所の近くです。猫は嗅覚が優れているため、トイレの匂いを気にせずかつ食事と水分補給が同時に行えるようにするわけですね。しかし、その一カ所だけに水飲み場を設置しても、『その場所自体にあまり行かない』ようであれば、効果は薄いです。

食事場所以外でも、遊び場や通り道、お気に入りの場所など複数個所に水飲み場を設置しましょう。そうする事で、「ちょっと水が飲みたいかも」と猫が感じたタイミングで水が飲めるため、単純に水を飲む回数を増やす事ができます。

色々な容器を用意する

猫の中には、気に入った形状や素材で作られた器にしか興味を示さない子もいます。器の素材一つとっても、今は陶器やステンレス、ガラスなど様々な種類があるため、色々な器を試して猫のお気に入りを探し出しましょう。形状に関しては、ヒゲが水に触れにくいふちが広い物が好まれます。

また、一度でも嫌な思い出があると今までの器を使ってくれない事が多いです。その場合も新しい器を買ってあげるといいでしょう。

常に新鮮な水を用意する

猫が口を付けた水は、どうしても猫の毛やホコリなどで汚れてしまいます。その水を猫が嫌って水を飲まないなんて事も十分に考えられるため、基本的に水はこまめに取り替えて新鮮な水を用意しておきましょう。特に時間が経った水は雑菌が繁殖する危険性もあります。

また、どうしても家を空けるような場合は水道水を使うのがおすすめ。水道水は中に含まれている塩素のおかげで消毒効果が長く持続するため、ある程度時間が経っても安全です。ただし、これもずっと効果があるわけではないため、やはり最低でも1日1回は交換するようにしましょう。

食事をウェットフードに変える

普段の食事がドライフードなら、ウェットフードに切り替えるだけでもある程度の水分補給になります。完全な代用にはなりませんが、『水を飲まない』ではなく『水を飲む量が少し減った』程度であれば十分に補えます。他にも、味の付いたスープなら飲んでくれるかもしれません。

ただし、ドライフードからウェットフードに切り替えるなら、ただ変えるだけだと顎の筋肉が衰える可能性があります。おやつやおもちゃなど、他の部分で顎の筋肉を鍛える方法を用意しましょう。

猫の水分不足が招く病気のリスク

水分不足は脱水症状になる他、腎臓に多大な負荷をかけてしまいます。ここでは、そんな猫の水分不足が招いてしまう病気について解説します。

脱水症状

動物の身体というのは半分以上が水分で構成されているというお話は聞いた事あるでしょうか?猫も身体の60%が水分で出来ており、その水分が急激に失われると皮膚の弾力が無くなったり、毛並みが悪くなるなどの症状が見られるようになります。もしこれらの症状が出るようなら、水分不足を疑った方がいいでしょう。

更にこの状態が悪化するとめまいやふらつきといった危険な症状が出るほか、最悪の場合意識消失や命を失う事もあります。脱水症状は身近な症状であるため忘れられがちですが、実はとても恐ろしいものなのです。

慢性腎不全

慢性腎不全は猫の死因の中でも上位を占める病気で、特に高齢期の猫に多く発症します。猫は水分を摂取しなくても活動できるように腎臓に負担をかける進化をしたために、慢性腎不全になりやすくなっているのです。腎臓は尿を作る役割を持つほか、赤血球を作るためにも活動するため、この機能が失ってしまうと様々な悪影響を及ぼします。

慢性腎不全は老化以外でも、水分不足が原因で発症することもあります。

尿石症

尿石症は別名『尿路結石』とも呼ばれている病気で、尿の通り道のどこかに結石が生じてしまう状態の事を指します。結石の大きさにはばらつきがあり、目に見えないほど小さいサイズもあれば、小石程度の大きなものまで存在します。

小さいものは尿と一緒に流れてしまう事がほとんどですが、大きなものは物理的に尿をせき止めてしまうため大変危険です。排出されるべき毒素が体内にたまっていくため、1日で『尿毒症』という危険な状態になり、最悪の場合市に至ることもあります。

猫にも十分な水分補給を!

猫は積極的に水を取ろうとしないだけであって、水そのものは必要不可欠な要素です。そのため、猫に任せるのではなく飼い主自ら率先して対策を講じる必要があります。今回解説したような対策の他、なにか異常があればすぐに動物病院へ向かうなど、緊急時の対策もしっかり意識しておきましょう!

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